雨宿りした日のこと。

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屋根に溜まった雨の雫がポタポタと音を立てて跳ねる。 ワタシはベンチの上に座り考えていた。 なぜ、悩みが解決しないのに笑ったのだろう…。 なぜ、あの不思議な気配は真輝がそうすることを知っていたのだろう…。 そして、なぜワタシは、役に立てなかったのに2人に感謝されたのだろう…。 ワタシは考える。 この世界にはワタシの知らない事がたくさんあるということを。 もし、ワタシがこの世界をたくさん知れば、真輝の笑顔の意味も、あの女の子のことも、伝えたいことも、ワタシの名前も分かるのではないかと。 ベンチから軽やかに飛び降り、ワタシは空を見上げる。 ワタシが世界の事を全て知ったら、またここで真輝とおしゃべりをしよう。 そう決めたワタシは、その日がくるのを楽しみに歩き始めた。
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