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コイツに出会ったのはワタシが真輝が居る土地を離れて数日後だ。
はっきり覚えているのにも理由がある。
あまりにも、コイツが情けなかったからだ。
〈おなか減ったよぅ…。辛いよぅ…。寂しいよぅ…。〉
いつものように歩いているワタシの耳に飛び込んできた、今にも消えそうなか細い声。
〈…どうかしたのか?〉
〈おなかが減りすぎて、動けない…。〉
話しかけた以上、見過ごすわけにもいかないワタシは餌を探し、コイツに与えた。
勢いよく平らげるその様を見て、ワタシはその場を離れようとした。
〈ちょ、ちょっと待ってくださいよぅ!あの、アナタは正義の猫さんですか?!〉
は?
〈見ず知らずの私を助けて、名前も告げずに去っていく…!あーちゃんが見てる正義の味方そのまんまです!〉
あーちゃん?
正義の味方?
コイツが何をいっているのか、何をいいたいのかワタシには理解不能だ。
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