雨宿りした日のこと。

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スゴく蒸し暑い、空が真っ黒な日。 ワタシはお散歩をしている。 ニンゲンはワタシ達のことをどう見てるかわからないけど、それなりに忙しいのだ。 どの猫にだって、目的があってそれを目指して生きている。 ワタシがこんな事を思ったのは、おんなじような天気の日にニンゲンに出会った事がきっかけだ。 そいつはこともあろうに、 「…猫は良いよな。悩みなんて無さそうだし、1日ゴロゴロしてるのが仕事だもんなぁ…。」 と、通り過ぎようとするワタシに向けて呟いたのだ。 ワタシとすれば心外の何物でもない。 あのニンゲンよりは、猫は複雑にできているのだ。 珍しく腹を立てて歩くワタシのヒゲに雨粒がかかる。 仕方ない、雨宿りでもするか。 ワタシはニンゲンの住処の軒先にチョコンと腰を下ろした。
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