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ヒデさんは見た目ちょっと怖い感じなんだけど、僕には初対面から優しくしてくれた。
いろんな事を教えてくれたんだ。
まずはね、利香ちゃんの住んでいるアパートはペット禁止なんだって。
僕達がいる事がバレたら利香ちゃんは追い出されてしまうんだって。
だから、なるべくなら鳴かない。どうしてもの場合は小さな声で鳴くようにって。
一階に住んでいるから外には自由に行けるように窓を少し開けて鍵で固定してくれてるから、出入りはそこから。
その時、他所の人に見られないように、これが一番大事な事だと教えられた。
《俺達は居候だからよ、利香に迷惑かけちゃいけねぇんだよ、わかったな?》
僕は頷いた。
ヒデさんの話は続く。
利香ちゃんは一人暮らしだから、家に帰ってくるとヒデさん相手にお喋りをするんだって。
これからは僕も参加出来るって。
どんなに眠たくてもちゃんと利香ちゃんの話に耳を傾ける事、相槌を打つ事。
時々、利香ちゃんの話が長くなる事があるけど欠伸なんて以っての外だとヒデさんに言われた。
《俺達は飯食わせてもらってんだからよぉ、な?解るだろ。きっちりその分を返さなきゃあよぉ、男がすたるってもんよ》
僕はまた頷いた。
《おっといけねぇ、話が長くなっちまったな。お前眠たいだろ? さぁ寝ようぜ》
僕の体はゆらゆらしていた。
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