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僕の隣で誰かが動く気配がして目が覚めた。
ヒデさんだ、ヒデさんが起きていったんだ。
明るい陽が窓から差し込んできている。もう朝なんだ。
夜中一人で丸くなって寝ていた僕は、ちょっと淋しくなってヒデさんにくっついて寝たんだ。
《おいおい、そんなにくっつくんじゃねぇ》
そう言われたけど、僕は離れなかったんだ。
ヒデさん小さく舌打ちしてたけど、そのうち僕を抱き寄せるように眠ってしまった。
僕も朝までグッスリ寝たよ。
『さぁ、ヒデ、欣ちゃんご飯どうぞ』
利香ちゃんが食事を用意してくれた。
ヒデさんが《ついてこい》と歩きだしたから僕も
歩き出す。
僕達がご飯を食べている間、利香ちゃんは何か香ばしい匂いのするものを用意して、化粧を始めた。
《あれはコーヒーメーカーっていって、利香は毎朝あれでコーヒー落として、化粧してそれを飲んだら仕事に出かけるんだよ》
ヒデさんが教えてくれた。
《利香が起きたら俺も起きるようにしてんだ。お前はまだ小せぇから寝たいだけ寝てろ。飯はちゃんと残しといてやるからよぉ》
僕は頷いた。
『ヒデ、欣ちゃん行ってくるからね。お利口さんにして待っててね』
ニャァー
ばしっ。
《バカヤロー、でけぇ声出すんじゃねぇ》
ヒデさんのネコパンチが僕の頭にヒットした。
《はい……》
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