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第2話 迷探偵コナ
「親分、大変ですぜっ!」
そう言いながらブルートが事務所に飛び込んで来たのは、太陽も空の真上に到達しようかという時間だった。
「ブルート君、『親分』はやめて下さいって言ったじゃないですか」
大好物のタラコスパゲティを頬張りながら、探偵コナは不満そうな表情を浮かべた。
年の頃なら20代半ば。うさん臭いコートに、うさん臭いチューリップ帽。
夏も8月だというのに、なかなか気合いの入った服装である。
「……見れば見るほど暑そうな格好ですな」
ブルートの言葉に、しかしコナは机に手を叩き付けて立ち上がる。
「何を言いますか! 探偵にコートと帽子は必需品です。そう、一昔前の女子高生がルーズなソックスを履くがごとく……」
「それはともかく、事件です」
コナの言葉を強引に遮り、ブルートは懐から1枚の写真を取り出した。
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