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とりあえずは無地の方を読むことにした。何故か直感的に桃色から読むのは躊躇いがあったからだ。
(なになに…)
綺麗に四つ折りにされた手紙をゆっくりと広げた。
それは―…
「入学手続書…?」
しかも、かの有名な魔法学園の入学手続書だった。
「なんだよこれ…」
「入学しろって意味じゃない?」
「………」
祐樹は"ありえないこと"が起きて、呆然しながら手続書を眺めていた。
そして、ふいに何かの見間違いだと思いたち、何度も見直す。
しかし、何度も見返しても手続書にはかわりなかった。
母さんはあまり驚く様子はなく、ただ手紙を見つめている。
「…何かの間違いだろ」
それでも、祐樹は間違いだと自分に言い聞かせた。
だって、自分は魔法とは全く無縁なはずだ。それがなんで今更…。
「だったらもう一つの手紙、読んでみたら?」
母さんが桃色の手紙を見るよう勧める。
「あ、うん」
言われるまま、手続書を母さんに預け、最後に残った桃色の手紙をひらいた。
何かの間違いだと祈りながら。
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