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となると本物は高校側が持っていることに…なら退学はすでに決定事項となる。
「僕の高校生活がぁぁ…」
あまりのショックに祐樹はふらりと腰を落とし、膝をついた。
もはやその言葉は嘆きに近い。
「ちなみにパパも承諾済みだよん♪」
「父さんまで!?」
さらに父さんの承諾という追い撃ちをかけられた。
父さんは僕が魔法が使えないことはもとより知っている。そして母さんは知らないがあの"事件"のことも――…
なのに――
と、父さん…信じてたのに……
心の中では泣きたい気分だった。
しかし、本人に相談無しで退学させる親って…ひどい。
(そんなに僕を学園へ行かせたいのか?)
「まぁ、いいじゃないか。祐樹」
「父さん…」
そういって現れたのは祐樹の実の父親だった。
橘 健司40歳。茶色髪に目は黒みがかったワイン色。インテリア眼鏡かけ、少し長い髪を後ろにひとまとめに結わえている見た目は若そうな中年男性である。
「あっ、パパおはよう~」
「おはようございます。希美子さん」
毎日の日課のような挨拶を終えて、母さんは父さんに抱き着いた。
…紹介が遅れたが母さん――
橘 希美子22歳。
祐樹と同じ黒髪黒目のストレートショート。
まだ幼さ残る顔立ちは一瞬見ただけでは成人した大人とは思わないだろう。
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