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『よかったあ…冬護の旦那覚えてた!』
雛は上機嫌で階段を駆け上がる。お次は3階。西側から3つめの部屋。
そこで雛はハッとし、上機嫌で上がっていた眉は再び眉間に集中する。
『くっ…』
雛は苦虫を噛み潰したような顔をして、ドアを見つめる。そこには、紫色のスプレーで大きく書かれた《グーシオン》の文字。
雛は思った。「こいつがあのことを覚えているわけがない」と。しかし、雛は気持ちを落ち着かせ、ドアをノックする。
『あーちょっと待て』
低く、特徴的な声が返ってきた。雛は『あい』と言って大人しく待つ。
数分後、
『早く入って来いよ』
と言われたので、雛は「そちらの招きが遅いんだ」と思いながら渋々部屋の中へ入った。
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