序章~ソリチュード~

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 この世界は、幾つもの国に別れている。  その国によって、特別に剣術を得意としている、脚力が長けている、人形を自らの手で作り出し手足の様に扱えるなど、生まれつき身に付いている特殊能力が必ず1つだけある。    その国々の中に唯一、捨て子を受け取ってくれる国がある。    《ソリチュード》。   それがその国の名前である。  その国の大人たちは、様々な国から捨てられた子を育てるのである。  ソリチュードの大人たちは、態々遠い国から子を捨てに来る親たちを見ながら思った。   《…何故》    それは少し考えればたくさん浮かんでくる。  養育費の負担。おろそうと思っていたが生んでしまった。育てるのが面倒、など。  だが時に、こんな理由もある。 それは子を見れば一瞬で解るのだ。  人より強大な力を持っている、と。  その子らは自分が持っている特殊能力をフルに活用することが出来る。  この世界では、人間の体の中に存在するマイトと言う名の念を体の外に出すことができたり、また、それを体の一部へ集中したりできる者のことを《エンファシス》と言う。    そのエンファシスさえも超える力を持つことを許された子供。  その力の強大さ故に恐れをなした大人が捨てるのだ。      
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