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少女は適当に布団を整えると、ドレッサーの鏡の前に置いてあるブラシを手に取り、髪をとく。
ブラシと同じくドレッサーの鏡の前に置いてある髪ゴムで、腰まである長い髪を左寄りのうなじあたりで1つに結び、それを丁寧に3つ編みにしていき、その3つ編みをマフラーのように右回りに首に巻いて一周させ、最初の結び目あたりに結び付けた。
最後に、落ちないようにゴムが付けられている眼鏡を頭に乗せる。
『……よし!』
そう言って少女は自分の両頬を軽く叩き、部屋から出た。
その部屋のドアには、
《今冨 雛》と明朝体で書かれた薄っぺらい板が、無理やり刺したであろう画鋲に鎖で吊されていた。
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