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雛と言う名前であろう少女は廊下を東側へ走り、階段を駆け上がって6階へ上がる。
雛は、階段のすぐ横にある部屋のドアをコンコンとノックする。そのドアには雛の部屋と同様、薄い板がぶら下がっており、細い字で《ハンキル》と書いてある。
中から低めの女性の声で、『どうぞ』と言う声が聞こえたので、雛は遠慮なくドアを開ける。
入って直ぐには女性は見当たらず、奥の部屋へ進む。すると、すらりとした体系の女性が椅子の上で漫画を読んでいるのが見えた。
『グッモーニン☆キル!』
雛が元気良く挨拶をすると、キルと呼ばれた女性が振り向く。
顔を見る限り十代後半から二十代前半。その女性は、細目だが優しい目をしていて、長めの艶のある黒髪を後頭部でまとめ、すっきりした髪型をしている。
服装は、裾や袖が金色に縁取られた黒いチャイナ服を着ていて、下には足首あたりだけがキュッとしまった薄いベージュのダボダボしたズボンを穿いている。
『おや、どうしたんだい?ひな』
ハンキルが聞くと、雛(ヒナ)は自慢気に鼻を鳴らした。
『何言ってるのさ!今日はあの日だよ!』
当たり前のように言い張る雛だが、ハンキルは全く理解をしておらず、首を傾げている。
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