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「負けちゃったぁ」
「ごめんね、澪奈。澪奈だって好きだったのに」
花梨が修一に気持ちを伝えた翌日。
花梨は、全ての事を澪奈に話した。
澪奈は悔しそうにしていたが、案外平気そうだった。
「気にしないで。実は私も告白したんだけど、振られちゃった。花梨が好きだからって」
そう、あの時、修一は。
『俺は・・・花梨のことが、好きなんだ。だから・・・ごめん』
そう言っていた。
所詮、澪奈に勝ち目はなかった。
だから、その瞬間、花梨を応援しようと決めた。
「そっか」
「修一は取られちゃったけど、私と花梨はずっと親友だからね♪」
「ありがと♪関係がこじれちゃったら嫌だなって思ってた」
「そんな事、あるわけないでしょ?一体何年親友やってると思ってるの?」
「そうだね」
二人の顔には笑顔が浮かんでいた。
親友という関係を遮る壁は、そこには存在してはいなかった。
そこにあったのは、強い絆だけだった。
「花梨の幸せ、願ってるよ」
「ありがと♪」
失恋したけれど、全く苦にはならなかった。
親友の幸せを願うだけで、満足だった。
何があっても、二人には幸せになってほしいと澪奈は思った。
「ほんとにごめん、澪奈」
「気にしないでよ。それより、花梨の事、幸せにしないと許さないからね?」
「当然だ」
「うん、大丈夫みたいね」
澪奈と修一の間にも、変なこじれはなかった。
親友そのものであった。
「必ず、幸せにするから・・・」
「うん。置いていったりしないでね」
「そんなことしないから大丈夫だ」
「信じていいの?」
「当たり前だろ?」
幸せそのものな二人の様子を、澪奈だけでなく、クラスメート達も温かく見守っていた。
「幸せそうだねー」
「ほんと」
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