この空に願う幸せ

6/22

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
それから数週間が経過した。 初めて修一の笑顔に魅了されてからというもの、花梨は修一を見るたびに気持ちが高まっていた。 その原因はなんなのだろうと、毎日考えるようになった。 「どうしたの?最近、よく考え事してるみたいだけど」 「なんでもないよ。だから、気にしないで」 「それならいいけど・・・」 「そういえば、修一は?」 「来てないね・・・どうしたんだろ?」 ふと周りを見渡してみるが、どこにも修一は居ない。 もうすぐ授業も始まると言うのに、どうしたのだろうか。 「ねぇねぇ、最近思うんだけど・・・柊さん、ひょっとしたら・・・」 「私も思ってた」 花梨たちには聞こえない場所で、クラスメートが何やら噂していた。 ちなみに、柊というのは花梨の名字。 大概のクラスメートは、花梨の事を名字で呼ぶ。 噂の内容を花梨が聞いていれば、きっと全力で否定しただろうが、幸いなのか、花梨たちはその噂を聞いていなかった。 「・・・あ。修一、今日風邪だって。今メール来た」 「え、風邪なんだ・・・大丈夫かな?」 「珍しいね・・・修一が風邪なんて」 花梨は心底から心配した。 いつもなら、ここまで心配する事はなかったはずなので、自分でも不思議に思った。 どうしてここまで心配になるのだろうかと。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加