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それから数週間が経過した。
初めて修一の笑顔に魅了されてからというもの、花梨は修一を見るたびに気持ちが高まっていた。
その原因はなんなのだろうと、毎日考えるようになった。
「どうしたの?最近、よく考え事してるみたいだけど」
「なんでもないよ。だから、気にしないで」
「それならいいけど・・・」
「そういえば、修一は?」
「来てないね・・・どうしたんだろ?」
ふと周りを見渡してみるが、どこにも修一は居ない。
もうすぐ授業も始まると言うのに、どうしたのだろうか。
「ねぇねぇ、最近思うんだけど・・・柊さん、ひょっとしたら・・・」
「私も思ってた」
花梨たちには聞こえない場所で、クラスメートが何やら噂していた。
ちなみに、柊というのは花梨の名字。
大概のクラスメートは、花梨の事を名字で呼ぶ。
噂の内容を花梨が聞いていれば、きっと全力で否定しただろうが、幸いなのか、花梨たちはその噂を聞いていなかった。
「・・・あ。修一、今日風邪だって。今メール来た」
「え、風邪なんだ・・・大丈夫かな?」
「珍しいね・・・修一が風邪なんて」
花梨は心底から心配した。
いつもなら、ここまで心配する事はなかったはずなので、自分でも不思議に思った。
どうしてここまで心配になるのだろうかと。
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