零・今でも大切な友達

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 暑い。  あまりの暑さに目を覚ます。目を開けたら真っ暗で、ここが火燵である事を思い出した。  のそのそと起き上がり、前脚で火燵布団を掻いて外に出る。途端に冷気が鼻先を掠め、暖まりすぎた身体をどんどん冷やしていった。 「よく寝てたねヘイバイ。疲れているの?」  真上から柔らかなソプラノがそう尋ねる。 『いや、寝るのがオレの仕事さ』  半ば本気だが冗談で返すと、微笑んでオレの頭を撫でた。 「私もそんな仕事してみたい。でもヘイバイとは違って体が大きいから、邪魔になるね」 『小さい方だろう?』  欠伸をしつつ言葉を放る。彼女は「そっか」と呟いて窓の外を見遣った。 「ヘイバイの大好きな雪が降ってるよ。そういえばまだ“あの子達”の夢を見てる?」 『ああ、よく見るさ……。今でも大切な友達だからね』  雪を見る度思い出す。  また会えたらいいのに――。
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