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あ、私、この人好きだったんだ…
そう気付いてしまったのは、純が彼女らしき人と手を繋いで一緒にいたのを目撃した時だった。
私は西村雅(にしむらみやび)
大学に入学して二十歳の夏を迎えた頃、何の変鉄もないちょっと暑苦しい、清々しいほど晴れた今日。
大学へと急ぐと、校門を入って真っ直ぐに続く並木道を反対方向から、肩を寄せあい、女と手を繋いで歩いてくる彼を見つけてしまった。
何かのコントのように、大きなタライが上から落ちてきたような、頭が真っ白になる衝撃を受けた。
その後から沸き上がるチクチクとした痛み…
私だって、この正体ぐらい知ってる。
間違いない…失恋だ。
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