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-艦船クラウディア 艦長室-
「失礼します。」
そう告げて俺は艦長室に入った。
「わざわざすまないな、カズヤ。」
…と、艦長クロノ・ハラオウンはこちらを見ながら言った。
「それで、私に何か?」
俺は早速用件を聞いた。
クロノ「あぁ、いつも通りでいい。楽にしてくれ。」
「…じゃあクロノ、一体何の用だ?」
…この男、クロノとの付き合いはかなり長い。もう10年くらいになるだろうか?
彼がL級艦船・アースラで執務官をしていた頃からの付き合いだ。
まぁ、そのことはさておいて。
クロノ「君に、引き抜きの話が来ているんだ。」
…またか、いつものことだが本当に参る。
俺みたいな『落ちこぼれ』に何を期待しているのだか。
「断っておいてくれ。俺はクラウディアから出て行くつもりは無い。」
そう言い切った。
クロノ「話は最後まで聞け。正確には引き抜きではなく、出向だ。はやて達が新部隊を作るのは聞いているだろう?」
…確か、「機動六課」 だったか?
クロノ「期限は一年間。この件に関しては僕からも頼みたい。君なら必ずはやて達の力になってくれるだろう?」
和也は少し困った顔になって、
「…そんなに期待しないでくれ。俺には大したことはできないよ。」
クロノ(全く、あいかわらずだな…)
優秀なカズヤのたった一つの欠点…それは常に自分を卑下していることだった。
確かに彼は魔法がロクに使えない。
だが、それを補うための努力を絶対に怠ったりはしない。ならば少しくらい自分に自身を持ってもいいだろうに…クロノはそう思った。
「…それで、仕事の内容は?」
和也の一言でクロノは我に返る。
クロノ「あぁ。内容に関するものは来ていないんだ。はやてらしいといえばはやてらしいけど。」
「…全く、偉くなってもあいかわらずだな、はやては。」
さすがに苦笑してしまった。
クロノ「…では、カズヤ・サクラバ一尉。期日より遺失物管理部機動六課への出向を命ずる。」
「了解しました、艦長。」
そう言って俺は敬礼した。
「じゃあ失礼するよ、クロノ。」
クロノ「ああ、頼りにしているよ。はやて達をよろしく頼む。」
それに返事をすることなく、俺は艦長室から退室した。
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