●生きてる時間●

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“うん。 来月、娘が生まれる。また、家族が増えるよ。” 電話の向こうで哲太が笑った。 「大事にしろよ。 お前の家族くらいは。」 “あぁ、そうするよ。 じゃ、もう切るよ。お前の声が聞けて良かった。 またな。” 「あぁ、また…な。”」 そう言って電話が切れた。 冷たい風が体に染みる。 俺はまた一人だ。 哲太は24歳。でも俺は424歳の化物だ。 400年…長かった。 俺の周りには今を生き、そして、半世紀で死ぬ奴ばかりだ。 俺と同じ運命の奴なんかいない。そう、家族でさえも。 哲太は家族がいる。 俺は一人だ。 そりゃ、昔は家族はいた。 この運命を受け入れて、それを理解してくれる愛する家族が…。 でも、俺の血を引く子供たちは時間の流れに身を寄せて、あっという間に俺より歳をとって、老いて死んだ。 運命は残酷だった。 血の繋がりさえ切ってしまう。 長い時の中で俺は一人だった。 そして、これからも。 だんだんと夜は更けていく。
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