●神の声●

3/7
174人が本棚に入れています
本棚に追加
/236ページ
俺が16になったばかりのことだったな。 すごい雨が降ってて… いや、血のにおいがしてたから血の雨が降ってたのかも。 とにかく、あの時は雨とか血とかで俺はずぶ濡れで刀を振ってた。 俺の屋敷に夜中、たくさんの敵が押し寄せて…。 俺の大事なものを何もかもめちゃめちゃにされて…。 俺の母も、妹も、弟も… みんな殺されちゃって…。 俺は必死に刀を振ってた。 がむしゃらで何かを考えてた訳じゃなく、抵抗するつもりで刀を振ってた気がする。 俺は、屋敷の庭で… そうだ、倒れたんだ。 死んだのか分からなかったけれど、ただ倒れた。 庭が狭いから戦うのに不利だったんだ。 それから、気がつくと広いヒマワリ畑にいた。 一面のヒマワリ。 なぜ自分がそこにいるのか…? そんなの考えもしなかった。 ただ、なんとなくそこにいただけ。 それで… “神” に会った。 美しくて、そうヒマワリみたいだった。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!