●神の声●

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“貴方に千年の時を与えましょう。” 透き通るような声。 俺には女神に見えた。 「千年の時を?」 “はい。 これは運命。 拒むことは出来ません。” 俺の頭は考えることさえ忘れている。現実にはあり得ないことなのに、それすら分からない。 「俺は死んだのですか?」 “いいえ、貴方は生まれ変わるのです。 私たち神の使者へ。” 「なぜ俺が?」 女神はそっと俺の頬を撫でた。その感覚は今でも覚えている。 とても温かで、優しくて… 母上のような方だった。 “言ったでしょう?運命なのだと…。 今宵より貴方は千年の時を生き、世界を見て来なさい。 この国から世界へと目を向けるのです。 その為なら、私の力を授けましょう。” そう言って女神は俺と額を合わせた。 ふんわりと太陽の匂いがして、包まれる感じだった。 “千年…その長い時の末に貴方は天に召されることでしょう。 その時、貴方はひとつの答えを見つけるのです。” ヒマワリ畑がざわめいた。 “さぁ、お行きなさい。 貴方の長い旅の始まりです。” 女神が俺に微笑んだ。 そして、俺は真っ暗な闇に墜ちていった。
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