●生きてる時間●

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高くそびえるビル。 何の為にその高さが必要なのか?よく分からない。 よどんだ月が濁った夜空に映えている。 とにかく、辺りは灯りひとつない、真っ暗な闇に包まれている。 その冷えた闇の中に一人の青年が闇の色の服に身を包み、月明かりに酔い知れている。 今年でもう424年…。 まだ半分以上も寿命が残ってんのか…。 こんな世界、早くおさらばしたい。 だが、答えは見つからない。 ピピピ…ピピピ… 懐でケータイが鳴った。 「はい。」 “鏡夜…また今晩も夜風に当たりに夜の散歩か?” 電話の相手はいつか通っていた高校の同級生の“哲太(てった)”である。 彼はもう立派な大人で、愛する家族がいる。 「まぁな。 それより、電話っていうのはお前にしちゃ珍しいな。 いつもメールだろ?」 “いや、急にお前の声が聞きたくなってさ…。 元気そうだな。” 「当然だ。 俺は病気や怪我なんかしたくても、出来ないんだから…。」 ふと口元に笑みが溢れる。 久しぶりの数少ない友人の声に嬉しさを感じる。 “今年で何年なんだ?” 「424年だよ。 お前は、今年で24か…。」 彼がその数少ない友人の真実を教えた一人だ。
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