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「えっと~、じゃあ烏龍……!!?」
言いかけてあたしは言葉を飲んだ。
男性が横に着くってことはここはどう見てもホストクラブ。
………………。
え―――ッ!!!!
ホストクラブ!?
そう、あたしは今頃気が付いたのだ。
ここはホストクラブ。
と言うことは、累はホストなのだぁぁぁ!!
ホストって、ホストって、お金のために女を騙すってあの職業じゃん!!
あたし、騙されたのぉぉぉ!?
「お待たせいたしました。指名ありがとうございます。累で――」
一人顔を青ざめていく中、タイミングよく現れた累。
だけどあたし達を見て、驚愕の色を隠せないでいる。
ということは、累もあたし達を覚えてくれてたんだぁぁぁ!
あたしは嬉しさの余り、さっきまでの累への疑惑なんか頭の中から綺麗に吹き飛んでしまった。
「聖也、尚人ありがとう。もういいよ」
累は笑顔を見せると二人を下がらせ、あたし達の前のソファに腰掛けた。
久しぶりに逢った累はどこか機嫌が悪そうに見えるけど、やっぱりかっこ良かった。
累の伏せめがちな瞳があたしの胸を締め付ける。
「何しに来たの?ここは君達が来るようなところじゃないよ。ジュースでも飲んで早くお帰り」
嬉しくてそわそわしているあたしとは逆に、累は不満そうに煙草に火をつけている。
苛立ちを感じるのは気のせい?
やっぱり迷惑なのかな。
拒否られたような気がして悲しくなった……のはあたし一人で――
「あたし達はこの間助けてくれたお礼を言いたくて、今日ここに来たの。確かにここはあたし達には不釣り合いなところだわ」
足を組み替える晶の声が低い。
ヤバイ!キレてる!?
晶は不機嫌丸出しの顔で累のことを睨みつけていた。
「これだけあれば足りるかしら?あたし達を楽しませてちょうだい」
晶は無造作にテーブルの上に札束を3つ投げ置いた。
かっこいい!
不謹慎にもあたしは晶に見とれてしまった。
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