589人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇねぇ何してんの?暇してんならカラオケ行かない?」
いつものように晶と2人で夜の街で遊んでいると、ダボ系の服を着た3人組の男が近付いてきた。
まぁ、夜の街を歩けばナンパ位は日常茶飯事。
晶がキレイだから毎度のことだけど、でもその時のナンパはしつこかった!!
無視してその場を通り過ぎようとしても、どこまでも付いてくる。
プッチーン!!
とうとうあたしの堪忍袋の緒が切れた。
「あんた達に興味ないのがわかんないの!?いい加減自分達のレベルに気付いたら?」
いくら化粧で化けてるとは言え、可愛くない方に言われたから男達がキレるのも仕方ない。
「んだと!?ブスは引っ込んでろ!!」
「そんなに粋がってるとヤッちゃうよ?」
一気に男達の表情は変わりあたしの顔を覗き込んだと思うと、あたし達の腕を掴んで強引に連れ去ろうとしたまさに、その時だった。
「痛っ!」
あたしの腕を掴んでた男が悲鳴をあげた。
見れば男の腕は見知らぬ男にねじあげられ、あたしの手から男の手が離れた瞬間、男は地面に叩きつけられた。
「君達は俺の連れに何やってるのかなぁ?」
その人は馬鹿にしたように言いながら、後ろから動揺しているあたしの肩に手を置いた。
投げつけられた男はキッとその人を睨みつけたと思えば、あっと顔を強張らせ「累さん!す、すみませんでした!」と頭を下げると走り去った。
残されたあたしと晶は一瞬のうちの出来事に何がなんだかわからないまま、累と呼ばれた人に目をやった。
「大丈夫?化粧で年を誤魔化してるつもりだろうけど高校生だろ?こんな所うろついてないで家に帰りな」
彼はそれだけ言うと、颯爽とネオンの中に消えていったのだ。
「――…‥音、紫音!」
ぼけ~っと彼が消えた方を見ていると、晶があたしの顔を覗き込んできた。
「また紫音の悪い癖が出たよ。まぁ?確かに累って人かっこよかったしね」
「ち、違うよ!そんなんじゃないもん!」
あたしは慌てて否定したけど、晶の言う通りだった。
最初のコメントを投稿しよう!