君がいない

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次の日、会社は休みだった。休日出勤の振替ってやつだ。 会社全体が休みなため、俺は一人でオフィスにいる。 自ら、井上社長を呼び出した。 あれから、一睡もしていない。顔は、ひどい事になっているだろう。 静かなオフィスに、ドアが開く音が響いた。 「桜井君……」 思ったよりも普通……と言うより、心配そうな眼差し。 ゆっくりと立ち上がり 「申し訳ありませんでした」 深々と頭を下げた。 その後、スラスラと言葉が出た。責任者として、仕事人としての、自分の行動の軽率さを語る。 違う自分が話しているような、変な感覚がある。それは、作られた文面を読むような……『言葉』とは言い難いものだったからだと思う。 「ですが私も、一人の親です。人間です。あの時私は、仕事人である事よりも、親である事を取りました」 井上社長の表情は、まったく変わらない。 「それについては、私は後悔もしていません。恥じてもおりません」 俺は、ずっと考えた。 たかが数時間だが。ここ最近の中で、最高に脳みそを使ってやった。 そりゃもう、脳みそが過労で倒れるぐらいにな。 俺自身を、俺なりに考えたさ。
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