2261人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の処遇は、想像がつかない。五十嵐社長は、つかみ所ないし。
でもいいか。
これでクビになっても、思い残す事はない。言いたい事は言った。
家に着くと、疲れが肩にのしかかるようだった。
季節外れの麦茶を飲みながら、また脳みそを酷使してみる。
昨日の事件が無くても、桜は俺から去るつもりだったんだよな。
俺の中途半端さに、呆れかけていたのかな。
俺が桜ならどう思う?
多少の苛立ちはあるのかもしれないな。いや、俺ならあるな。
それなら『大好きな人』の状態で別れるか。一度好きになった人を嫌いになるのは、辛い事だ。
春菜を見ていて、よくわかっているつもりだし。
俺、桜に全部伝えたかな?
ふと、カレンダーに目がいった。27日につけられた、赤いマーク。
桜が旅立つ日。
何度か電話もしたし、メールも打った。返事はないし、家も引き払っている。
会う手立てが断たれた今は、空港に行くしかないよな。
最後の運命の歯車が合うとするなら、27日しかない。
空港に行こう。
時間は詳しく聞いていなかったから、朝から行けばいい。
とにかく……今は寝よう。
そして、桜に伝えたい事を整理しよう。
最初のコメントを投稿しよう!