君がいない

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―12月27日― 昨日一日考えたけど、桜に会えたら何を言うか決まらなかった。 プレゼントの包みには、手編みと思われる真っ白なセーターが入っていた。 それと『大好きです。忘れません、あなたの事。桜』と書かれたカード。 きっと、俺も忘れない。 ……そうだな。それだけ言えたらいいかもしれない。 そんなこんなで、飛行機の時間を調べたりした結果。 朝は7時前~夜は9時ぐらいまで、便がある事がわかった。 俺は桜のプレゼントのセーターを着て、空港に乗り込んだのだ。 桜の地元は北海道。……よく聞いておけば良かった。俺はてっきり、北海道には札幌空港しかないと思っていた。 調べてみたら、結構あるんだな。 この広い空港で、会えたら……奇跡なような気がしてきた。 午前中の、かなりの数の便を見送った。もしかしたら、飛行機で帰るわけじゃなかったのかな。 不安になるが、約束をしたわけでもないし。もう5時間も待ってるんだから、この小さな希望にかけるしかない。 それからごはんも食べず、空港内をうろうろしたり。 とうとう、最後の便が出た。 結局、奇跡は起きずに…。 空港をあとにしながら、桜に最後のメールを打った。 〈今までありがとう。桜の事は忘れない。大好きだよ〉
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