君がいない

6/6
前へ
/325ページ
次へ
あっけない。 その一言に尽きた。 諦めがつかない気持ちを抱え、考える事しかできなかった。 鳴らない携帯を何度も確認して、桜の言葉を思い出して。 俺はどうあるべきなのかな。 はっきりはわからない。 だけど俺自身言ったよな?偉そうにさ。 『正しかったと胸を張れる時』は必ず来るんだよ。 それまで悩み、考え。迷えばいいんだ。思いっきり。 時間が解決するのはわかっているが、十分な時間が経つのをひたすら待つのはきついよ。 焦りと諦めと。 そんな気持ちのまま、どれだけの時を過ごしたらいいのかな。 でも、一つだけ出た答えはあるよ。 俺は、桜が好きになった『桜井隆一』を、ずっと保っていこうと思う。 そして桜が気付かせようとした、家族のなんたらってやつを…ちゃんとしてみようかなって。 もう家族ではないけれど、壊れる前にしなければならなかった事を、してみようと思うんだ。 だけど今は、桜との思い出に浸ろうかな。ちゃんと桜の事を消化したあとに、動き出してもいいだろ? 本当に好きだったよ。 不器用で、傷付けて…泣かせてしまったけれど。 君がいたから、俺は変われた。取り戻せたモノもあった。 ありがとう。 桜に出会えて、本当に良かった。
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2261人が本棚に入れています
本棚に追加