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「桜井さん!これ、どうっすかね?」
ニヤニヤ笑いながら、名前の書かれた紙を差し出してくる八嶋。
めでたく、洋子ちゃんと結婚した。
「まだ、3ヶ月だろ?男か女かもわからんのに……」
気の早い男だよ。
幸せそうで何よりだが。
「楽しそうだな。だけど仕事はしないと……お!これいいな」
横から黒川さんが、候補に挙げられた名前に反応する。
「あとは、画数だな。実は、画数を調べさせたら……俺はスゴいよ?」
「マジっすか!た、頼みます!黒川さん」
そんなやり取りを見て、つくづく平和だなと思ってしまう。
凄まじく変化した、去年を思い出す。
そんな事も、今じゃすっかり笑い話になった。
「なぁ……。田中と佐藤、付き合ってんのかな」
じゃれている二人を眺めながら、八嶋に聞いてみる。
「あぁ。佐藤ちゃん……『田中さんの名字、普通すぎるのがな』って言ってましたよ」
「そこ肝心!?」
思いがけず、黒川さんと声が揃ってしまった。
「自分『佐藤』だから、結婚するなら…ありきたり名字から卒業したいし……って言ってましたよ」
あぁ。やっぱり、佐藤は佐藤だな。よくわからん。
こんなくだらない会話に平和を感じながら、また一日の仕事をこなしていく。
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