中年革命

3/10
前へ
/325ページ
次へ
「桜井さん!これ、どうっすかね?」 ニヤニヤ笑いながら、名前の書かれた紙を差し出してくる八嶋。 めでたく、洋子ちゃんと結婚した。 「まだ、3ヶ月だろ?男か女かもわからんのに……」 気の早い男だよ。 幸せそうで何よりだが。 「楽しそうだな。だけど仕事はしないと……お!これいいな」 横から黒川さんが、候補に挙げられた名前に反応する。 「あとは、画数だな。実は、画数を調べさせたら……俺はスゴいよ?」 「マジっすか!た、頼みます!黒川さん」 そんなやり取りを見て、つくづく平和だなと思ってしまう。 凄まじく変化した、去年を思い出す。 そんな事も、今じゃすっかり笑い話になった。 「なぁ……。田中と佐藤、付き合ってんのかな」 じゃれている二人を眺めながら、八嶋に聞いてみる。 「あぁ。佐藤ちゃん……『田中さんの名字、普通すぎるのがな』って言ってましたよ」 「そこ肝心!?」 思いがけず、黒川さんと声が揃ってしまった。 「自分『佐藤』だから、結婚するなら…ありきたり名字から卒業したいし……って言ってましたよ」 あぁ。やっぱり、佐藤は佐藤だな。よくわからん。 こんなくだらない会話に平和を感じながら、また一日の仕事をこなしていく。
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2261人が本棚に入れています
本棚に追加