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「何よ、本当に。気持ち悪いわね。……あなたも、私が痩せるのに反対かしら?」
懐かしさに浸っていると、トゲが飛んできた。
「いや!そうじゃなくて……って。『あなたも』?」
まさか、武田くんが反対派?
「本当に、バカにしてるったらありゃしない!」
急に怒り出す幸子。
んー。何があったのかな?
「武田くん……?」
恐る恐る聞くと
「そうよ」
付き合うとまではいかないが、お互いの家を行き来はしていたそうだ。
「それがある日……」
物語を語るように、たっぷりと間を取った。幸子は真剣に続けた。
「武田くんがコンビニに行くって、少し武田くんの家で一人になる機会があったのよ……」
そこで、見てはならないものを見付けてしまったらしい。
「結婚してたとか?」
他、中年の秘密って何だろう。
「いいえ……。それの方が、まだかわいいわよ」
あからさまな嫌悪の顔。
実に興味深い。
「何だ?見当もつかん」
「……やっぱり、言いたくないわ」
「なっ!ここまで引っ張って、それなのか!?」
幸子。こんな風に話をするの、十数年振りだな。
すごく懐かしく感じる。
それでいて、新鮮にも感じるな。
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