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なぁ、桜。
幸子に似てる部分はあったけど、俺は桜個人を愛していたよ。
忘れない、大切な人だ。
俺、たくさん学んだよ。
桜のような女(ひと)に出会えて幸せだよ。一生懸命になる事の素晴らしさを、思い出させてくれたし。
桜はどうかな?
俺に会えて良かったかな。
問いかけても、答えてくれる事は二度とないけれど。
俺もようやく、携帯のデータから……君を消すことができそうなんだ。
データは消してしまうし、気持ちも薄れているけれど。
たまに思い出して、切なくなってる。センチメンタル中年だ。
データや気持ちが消えても、桜と言う人間は忘れない。
異性の壁を越えた、とても大事な人だから。
だからどうか、幸せになって下さい。
俺は俺で、桜の好きだった俺に磨きをかけていくからさ。
そして、桜が望んだ…
家族と向き合う事をしていく。
家族と呼べる環境はなくても、俺の心は春菜や幸子を『家族』と認識しているから。
それでいいよな?
きっと。
このミッションをクリアしたら、言えるようになると思うよ。
これで良かった。
正しかったと。
胸を張れるはずだ。
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