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右半身は暖かいのに左半身は冷気にさらされているこの状況で快適な睡眠などとれるわけもなく、嫌々レノアスは目を開けた。
黒髪の向こうでエメラルドの瞳が光を放つ。
だいぶ長くなった黒い前髪を掻き分けて、大きく欠伸を漏らすレノアス。
(この学校に頭髪検査があったら、こいつは確実にアウトだな。)
そんなことを言ったら、ここにいる人間の大半は一目見ただけでアウトなこと間違いないのだが、そこは気にしないことにしよう。
レノアスはそんなカラフルヘアーズの中でも、光の反射具合からして、寝起き一番に見るのにはあまりオススメ出来ない、存在感大の赤髪が何故自分の前の席なのだと、自分のくじ運を呪った。
ジェイドの艶あり赤髪が教室上の蛍光灯の光をこれでもかと乱射してレノアスの目を苦しめる。
「迷惑防止条例違反だ、コノヤロー」
今は授業中なので、その空気を壊さない程度のボリュームでそう言うと、レノアスはジェイドの後頭部にスチール缶でさえも凹ませる威力を持つ、ゴッドハンドクラッシャー……元意デコピンを叩き込んだ。
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