第2章 past memories

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瞬間、引いてもいない引き戸が猛スピードでレノアスを強襲する。 「なんだ!?」 持ち前の反射神経でどうにかドアに殴られるのを避したレノアスだったが、それだけでは対応が甘かった。 ドアを追うようにやってきた金色の後頭部をレノアスの鳩尾が受け止めることとなる。 おそらく……というか百パーセント携帯を渡そうとドアに寄りかかって着替え待ちをしていたのだろう。 そこでドアノブを回してしまった結果がこれだ。 「……おいソフィ、お前いつの間にドシっ娘属性なんて身に付けたんだ?」 苦痛と呆れの混じり合った表情をしているが、同じ方向を見ているソフィには見えないに違いない。 まぁ突進してきたわけではないのでソフィの頭は大して痛くはない。痛いのは壁で跳ね返ってきたドアにやられた足の小指だけだ。 「…………おそらく今さっき」 「いや、否定しないのかよ! ってかそこに考える間はいらない。」 実にソフィらしい返答に一通りのツッコミを入れたところで、そろそろ目の前の問題に向き合わなければなるまい。 「それで……いつまで抱いてればいいんだ? 自立してくれるとありがたいんだけどさ」 (これは事故であり、偶然であり、反射的な行動である。 倒れてきたソフィを支えるために手を回したわけで決して狙ったわけじゃない。 偶々だ。偶々それが何やら柔らかいものをホールドしてしまったのであるからして、わざとではない! だって今離したらソフィ落っこちるし…… だから決してわざとじゃありませんから!! って誰にたいしての弁解だ?) 只でさえこの状況にテンパっているレノアスに告げられたソフィの一言はどんな兵器にも勝る破壊力を持っていた。 「……私がいいと言うまで」
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