第2章 past memories

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緩んでいた表情を引き締めて、ジェイドは体を支部長ではなくレノアスの方に向け、吐くように呟いた。 「あの倉庫の空で蒼炎痕に会った。」 その言葉は他に匹敵するもののない起爆剤となり、レノアスの心に黒い炎を着けた。 芯を持たない輩ならそれだけで即倒してしまいそうな覇気を放ち、もはや狂気に近いものを眼に宿してレノアスが言葉を紡ぐ。 「あいつが居た…………あいつはどうした?何をしていた!?」 「まぁ落ち着きなよ。今あそこで起きたこと話してやるからさ。」 少しの間、互いの覇気をぶつけ合っていた2人は、間もなくその無駄な行為を止めた。 (睨んでも情報は手に入らない……) レノアスの理性が復活すればそれで済むことだったので、落ち着きさえすれば後はスムーズなものだ。 「悪い、少しアイデンティティークライシスが……」 「気にしなくていいよ……アイデンティティークライシス?」
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