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「さっき飲んでた、ブルーのカクテル。あれは……」
マスターに顔を向け
「スカイ・ダイヴィングだろ?」
「正解」
右手を軽く上げて答えている。
「俺はね、スカイ・ダイヴィングの青さより……」
慣れた手付きで、シェイカーを振る。そして、グラスにそれを注いで、私の前に置いた。
「こっちのブルー・ラグーンの方が、深みがあって綺麗だ」
さっきのマスターが作ってくれたブルーのカクテル……スカイ・ダイヴィングは、その名の通り空の青さだった。
そして今、純が作ったカクテルは……テレビでしか見たことはないが、南の海のような碧さ。
「やっぱね、カクテルは名前も知って飲むといいもんだよ」
純の手元には、オレンジジュースをテキーラとステアしただけのカクテルがある。
「見ててよ」
私の目の前で、限りなく赤に近いシロップを静かに落とす。
するとそれはグラスの中で、綺麗なグラデーションになった。
「テキーラ・サンライズ。朝焼けみたいだろ?」
私の前に置かれたブルー・ラグーンと、テキーラ・サンライズを合わせたら、海から陽が上がるように見える。
名前を知ったから、余計にそう見えるのかな。
マスターは『タラシなバーテンだな』と笑っていた。
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