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席に戻ると、マスターは新規の客と話し込んでいた。
いつもそうだ。
ボックス席の輪の中に入り、楽しそうにはしゃいでいる。
その代わりに、純がカウンターの中に入っている。
「お!お客さん、一人?オススメカクテル、一つどう?」
純は楽しそうに聞く。
「これで二回目。臨時の店員。しゃあないよなー。まったく」
文句を言うわりには、楽しそうだね。
ボックスの賑わいとは別に、ゆっくりとした時が流れるよう。
ボックス席には、ウィスキーと焼酎がメインにセットされている。
あれじゃ、カクテルオーダーは無さそうだな。
「そうそう。この店の名前、カクテルの名前なんだよ。作ってやるよ。
国内では、エンゼルス・キッスって呼ばれてるけど、海外ではエンゼル・ティブなんだよ。
国内と海外のレシピが、若干違うけど……これは、国内スタイル」
カカオの茶……と言うより、照明のせいだろうか。深紅に見える。
その上に生クリームがフロート(層になって浮いている状態)されている。
カクテルからイメージするのは、シェイカーを使った派手なパフォーマンス。
だけど、純の作るカクテルは……繊細な物を扱うよう。
カクテルのうんちくも、飲みながらチョコを頬張る行動も。
すべてが新鮮だ。
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