熱いキスを君に

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自慢じゃないが……なんて、謙虚な事は言わない。 年齢よりも若く見られるのは、私が唯一自信を持っている所なわけで。 でもな。 思い出してごらん? 私を綺麗とか可愛いとか、若いとか言ってきた男達。9割、下心が見えていたじゃない。 実際の私って、やっぱり歳相応なんじゃないかな? 「中ちゃん。私って、何歳に見える?」 ランチ終了後のお色直し。 トイレの鏡の前で、私は真剣に聞いた。 「26歳ぐらいに見えるけどなぁ。宮嶋さん、若いですよ?」 何でそんなことを聞くの?と言いたげな表情。 「若くはないよ。……でもさ、若く見られたいのはあるんだよねぇ」 中ちゃんの肌と私の肌を比べても、やっぱり中ちゃんの肌の方が断然綺麗。 同じ20代でも、前半と後半じゃ……比べるだけ酷だわ。こうも違うのかと、気分は落ちる。 「はぁ……。中ちゃんの若さが欲しいよ」 私が笑うと、中ちゃんは一瞬……複雑な表情を見せた。 だけどすぐにいつもの調子で 「5歳ぐらいなら貰ってもいいですよぉ」 本当に年をあげれるのなら、私は9年中ちゃんにあげたいわ。 ハタチに戻りたい。 何も考えてなかった時代に。 でもな。 中ちゃんに9年足したら、中ちゃんが30歳になっちゃうもんね。 さすがに『いらないですよぉ』って言われちゃいそうだね。
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