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「眠たい」
やる事は終わって、まどろむ純。
ここは純のアパートのシングルベッドの上。もちろん、お互いに全裸である。
「じゃあ……帰るかな」
私はまだ眠たくはないし。それに、一戦交えた後の冷たい空気を感じたくなかった。
だから、その空気を感じる前に逃げようと思ったのだ。
体だけって……って、その行為の後がすごく虚しくなるのよね。終わったら、相手の体に触っちゃダメなような気さえする。
だから今も、狭いシングルベッドの上だと言うのに……体を離していたりする。
「ん?寝ていけばいいじゃん。明日何もないだろ?」
さも当たり前のように、そんな言葉を口にした直後。不意に、純の手が私を抱き寄せた。
「ほらほら。いい子はねんねだよぉ」
笑いながら、私の頭をポンポンと撫でる。
それが無性に嬉しくて、私は強く純に抱きついた。
今夜だけでいいから、昔……恋人と過ごしたような時間を……と望みながら。
まだ、アルコールは抜けてないから。今の私が何をしても、どんな事を思っても。どんな甘いことを口にしたとしても。
全ては【お酒のせい】だから。
私の気持ちがわかったかのように、純はさっきよりも優しく私を抱く。
眠たいはずなのにな……なんて思いながらも、私はそれを受け入れた。
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