シングルベッド

3/7

13384人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
腕枕をされているのが、こんなにも幸せだなんて。ずっと忘れていた。 虚しさを感じるはずの時間が、幸せを感じる時間に変わる。 すっかり寝入っている純は、私にしっかりと抱きついてくる。 息苦しくて動こうとしても、純は私を離さない。仕方がないから、抱き枕になっておこうか。 ──もしかしたら、純も寂しさを抱えた人間なのかもしれない。 何故かそう思った。 そっと…… 純の手に、私の手を重ねてみる。 すると、私の指に純の指が絡まった。思わず純を見てみるけど、子供のように眠っていた。 そんな反応が意外で、面白くてかわいいと感じる。 うとうとしては、どちらかが寝返りを打つ度目を覚ます。 そしてキスをして、また体を重ねる。 それが夢なのか現実なのかわからない、まどろみの中で。 時間の感覚すら失い、世の中で私と純しか居ないような気持ちになる。 半分眠った状態で、こんな風に求め合うのも悪くないな……なんて、本格的な眠りに落ちる寸前に思った。 純はいつもこんな風に、彼女を抱くのだろうか。 そう思ったら、過去に居ただろう純の彼女に、少しだけ嫉妬した。
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13384人が本棚に入れています
本棚に追加