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腕枕をされているのが、こんなにも幸せだなんて。ずっと忘れていた。
虚しさを感じるはずの時間が、幸せを感じる時間に変わる。
すっかり寝入っている純は、私にしっかりと抱きついてくる。
息苦しくて動こうとしても、純は私を離さない。仕方がないから、抱き枕になっておこうか。
──もしかしたら、純も寂しさを抱えた人間なのかもしれない。
何故かそう思った。
そっと……
純の手に、私の手を重ねてみる。
すると、私の指に純の指が絡まった。思わず純を見てみるけど、子供のように眠っていた。
そんな反応が意外で、面白くてかわいいと感じる。
うとうとしては、どちらかが寝返りを打つ度目を覚ます。
そしてキスをして、また体を重ねる。
それが夢なのか現実なのかわからない、まどろみの中で。
時間の感覚すら失い、世の中で私と純しか居ないような気持ちになる。
半分眠った状態で、こんな風に求め合うのも悪くないな……なんて、本格的な眠りに落ちる寸前に思った。
純はいつもこんな風に、彼女を抱くのだろうか。
そう思ったら、過去に居ただろう純の彼女に、少しだけ嫉妬した。
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