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寂しさを埋めたくて誰かに抱かれても、私の寂しさは増すだけ。
この歳になって、寂しくないなんて強がりは……自分自身にはしなくなった。
一瞬でも『私を求めている』のを感じたくて……。
結局、熟睡できるはずも無く。早々に起き上がり、シャワーを浴びた。
眠たい目をこすりながら、コーヒーを淹(い)れる。
ソファでうとうとしながら、コーヒーとテレビ。
横目に、私に背を向けていた男……原田を捉えている。
そこに生まれる感情は、自己嫌悪しかない。寝ている唇にキスをしたいとも思わない。
愛しく感じない。
8時のアラームで原田が目を覚ます。
「おはよう」
まだ眠そうな原田を急かし、そそくさとホテルを出た。
たまにゆっくりしようよ。なんて愚痴られたけど、私は眠たくて仕方がないのよ。
誰かと寝て、熟睡したのは……いつが最後だっただろうか。
今はただ、邪魔なだけ。
それなのに、一人で居たくないだけで……誘いを受けてしまうのだから。笑うに笑えない。
原田が体目的なのをわかっているのに、本当にそれだけだとがっかりしている。
決して、原田の事は好きではない。
私が好きなのは、私自身だ。
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