シングルベッド

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「ん?子犬みたいでかわいいよ?」 決してただの【ガキ】ではない。 その存在が微笑ましく、無邪気さがうらやましい。そう思ったら、子犬が連想された。 「じゃ、母犬なのかよ」 軽く笑いながら、煙草の煙を私の後頭部に吹きかける。 「こんな大きい子供はいらないよ。せめて、姉ちゃんにして」 放っておくと、また【おばさん】なんて言いそうだから、先手必勝。 「そっか。ね?春姉?」 呼びかけられて振り向いた私に、軽くキスをした。 「春姉は、悪い姉ちゃんだな」 いたずらに笑う純。 純の行動の一つ一つが、私には甘すぎ。行動も、仕草の一つも甘いの。狂いそう。 「そ!だから悪い姉ちゃんは、今日は帰りますよ」 再び純に背を向けて、パンツを履き、身支度を整える。 強く純に惹かれているのは、誤魔化せない事実。 だからこそ、それを悟られないよう……クールに対応しなきゃならない。 「連絡先教えてよ」 同じように服を着ながら、純はサラッと言う。 「ん」 携帯を取り出し、自分のデータを表示させて差し出す。 赤外線でやってよ……なんて笑う純に、そうだね……と笑う。 とりあえず、今日が最後じゃない事に、今は安心している。
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