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再びメールを受けた携帯を無視して思う。
どうせ寂しさを埋めるだけなら、純がいい。
ミルクチョコを一粒口に入れる。
仕事帰りに立ち寄ったコンビニにあった、純の家にあったチョコの袋。
思わず手にしてしまった。
これを食べているから、純を思い出すのだろうか。
この部屋で、一人で考えても答えは出ない。答えを出したいなら、もう一度、純に会えばわかる気がする。
寂しさを感じても、原田には会いたくない。
携帯を開き、新着メールも無視して、純のアドレスを呼び出す。
<元気?今日は何してるの?>
送信画面が、やけに切なく私の目に映る。
25歳の純から見たら、29歳の私はどう映っているのだろうか。
面倒な歳?すぐにやらしてくれる、都合のいい女?
もしくは、酔っ払った勢いで手を出して、今頃後悔しているのかな。
そんなことを気にしている自分が、ちょっとかわいいなと思った。
一夜限りは、何度かある。
でも、純とは……一夜限りにしたくない。
それほどまでに、あの腕の中は心地好いの。
≪暇なら、今からおいで≫
純が何を思ってこのメールを打ったか、私には知る術(すべ)は
ない。
だけど、少しの時間でも……私を受け入れてくれるなら、私は純に会いたい。
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