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一週間振りの純のぬくもりは、前以上に私を満たし、前とは違う切なさを生み出した。
私を抱く時だけ、【春姉】から【春香】へと呼び方が変わる。
それがうれしくて、切ないの。
ううん。
うれしいから、切なくなるのかもしれない。
うれしくなる度に、自分の年齢が重くて厄介に思う。
たかが4歳の差。でもね?
30歳目前になると、4つ下のコに本気になるのもどうかと、心が重くなる。
「春姉。明日はごはん行こうな」
ここ一週間、お互いがどんな風に過ごしていたかを語り合った最後、純は優しく言う。
眠たそうにゆっくりと目を閉じながら。
「うん。行く」
その返事に、純は無理矢理開いた目を私に向け、微笑みながら頭を撫でる。
私も笑って目を閉じた。
ねぇ、純。
あんた本当に、タラシだよ。
私が喜ぶ……いや。女なら、誰でも望んでる事だろうけど。
それをサラッとやってくれる。
今まで、誰もそんな事をしてくれなかったから……。
だからかな。私が何も言わないのに、私の望むことをしてくれる純を特別に思うのは。
こんな風に穏やかな気持ちになれるなら、ずっとこの関係でいいや。
好きとか嫌いとか、そんなのどうでもいい。
たまにこうして、疑似恋愛していられたら……
私は満足。
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