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中ちゃんが入社してきた日は、この先が思いやられるな……なんて思っていた。
だけど、関わっていくと、中ちゃんのよさが目に付くようになった。
一度ミスしたら、同じミスは繰り返さない。わからない事は人に聞いて、資料を持ち帰って勉強してくる……がんばり屋だ。
いつも明るいけど、ちゃんとする所はちゃんとしている。
中ちゃんのおかげで『今時の若いコ』のイメージが、だいぶん良くなった。
中ちゃんとは不思議と気が合って、1ヵ月もすると、公私共に仲良くなっていた。
私の妹分みたいなコ。
そんな妹分の隣。
ギャルの中ちゃんとは対照的な……パッと見、35歳前後の真面目そうな男が寄り添うように立っている。
「あっ!紹介しますね!これ、彼氏なんですよっ」
中ちゃんはいつもと同じ、満面の笑みを私に向けて言う。
「これはないだろう」
中ちゃんに一言文句を言ってから、彼氏はペコリと頭を下げた。
「横田総一郎です。瞳がいつもお世話になってます」
何だか、随分と偉そうな名前だな。なんて思いながら。
「宮嶋です。毎日世話焼いてますけど、素直ないい子で扱いやすいですよ」
と返事をした。
中ちゃんは『ほらっ!素直ないい子だって!』と、横田さんに得意気な顔を見せる。
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