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横田さんは、軽く中ちゃんをあしらっていたけど、仲の良さは十分に伺えた。
「宮嶋さんは、どっち見るんですか?」
中ちゃんは、私も腕を軽く掴みながら聞く。こんな風にやられたら、男もたまらないだろうな。
「アクション見るよ。中ちゃん達は?」
「マジッ!同じじゃないですか!一緒に見ましょうよぉ」
私はかまわないけど、横田さんの意見は無視なの?
チラッと横田さんを見ると『瞳、いつも宮嶋さんの話ばかりするんですよ。遊んでくれないって』と笑った。
そんな風に言われたら、悪い気はしない。むしろ、ちょっと嬉しい。
邪魔するのも何だけど、せっかくだから一緒に見る事にした。
そして、夕飯まで一緒。しかも、横田さんのおごり。
ご飯の間、私と中ちゃんのやり取りを見て、横田さんは笑っていた。
私は、横田さんと中ちゃんの仲睦(むつ)まじい光景に、少しうらやましく思った。
横田さんは36歳で、仲ちゃんとは15歳も離れている。
私は二人がうらやましいのではなくて、横田さんがうらやましいのかもしれない。
私より年上なのに、本気の恋ができていることが。
ご飯の後は『これ以上は邪魔しませんよ!』なんておどけて、二人と別れた。
久しぶりに、真面目な恋愛している人を目の当たりにしたからかな。
今日は何だか、飲みたい気分。
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