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夜が明けた
朝焼けは窓を通り抜けて射し込んでくる。輝かんばかりの陽光で目を覚ました。時刻は7時過ぎ。
目を覚ました紅は身仕度を済ませ、自室で湯を沸かし始めた。卵をフライパンの上で焼いて、トーストも用意する。沸かしたお湯でコーヒーを煎れる。
いつものような静かな朝。
朝食を済ませて部屋を出た。まず向かうのは夭の部屋。
「どうしてあたしがみんなを起こさなきゃいけないのよ……夭は起きないし秦は寝起き最悪だし、旋は叩き起こさなきゃなんないし、凜は寝呆けるし……あら?」
ふと夭の部屋の手前で足を止める。そこには、あの零が立っていた。何をするわけでもなく、ただ夭の部屋の扉を見つめていた。
「……零?」
「……紅、……?」
「早いのね。どうかした?」
零の白い髪は輝いていた。
「どうも、してません。ずっとここにいました」
「え……、寝てないの?」
「わたしに睡眠や栄養は必要ありませんから」
「あぁ……」
紅はその言葉にはっとして納得した。
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