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「こんなところにいたのか秦」
「会議始めるわよ」
後ろに立っていたのは、背が高く明るい茶髪の旋(セン)と、色白で眼鏡をかけた長髪の女、紅(コウ)だった。
秦は振り返って歩きだすと、無表情のまま言った。
「すいません。僕煩いの駄目なんで」
「夭が待ってる、行こう」
彼らの足は『特別会議室』へ向かって行った。そこは厳重で防音。入り口はセンサーと指紋が一致しないと扉が開かないロック式になっている。一人ずつ指を当てて中へ入る。するとそこに数人が座って待っていた。
「やあ秦君ー!遅いじゃないか、また外が喧しかった?」
「はあ……すいません」
中央に座っている長身の、肩までの茶髪の男こそ、夭である。
全員が席に着くと、全員が真剣な面持ちに変わった。
「議題は言うまでもなく……」
「零の起動ですね」
「ついにやるのか……」
静まる空間に夭が口を開いた。
「あっコーヒー飲む?」
「……」
陽気な男だった。
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