4/4
前へ
/51ページ
次へ
コーヒーを一口飲んで、夭はまた口を開く。 「事態は深刻だね。資料を捲って。それは政府から送られてきた文だ」 そこにはびっしりと文字が並んでいた。内容は、 『この戦乱の世を終わらせたい』とのことだった。だからこの有力な総合中央研究所に協力を願う、と。要は政府も兵器を欲しているのだ。他のところよりも強い兵器を。費用はいくらでも出すらしい。 「零は、きっと何にも負けないだろう」 「でも夭さん、それでいいの?零は……」 「凜君の言う通り、起動させた零は」 可哀相だろう 凜(リン)は背の低い、幼い顔をした女の子だ。彼女は視線を落として静かになった。長い睫毛が垂れる。 「凜、気持ちはみんな分かる。けど、世界はこのままではいけない」 「えぇ、秦の言うとおりね。凜、私たちがいる間は私たちが零を助けましょう」 「……はい、そうですね」 意を決して凜は顔をあげた。全員一致。起動決定だ。 「あ!お茶菓子あるよ!」 「………夭……っ」 こうして空気は和らいでいくのだった。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加