起動

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「起動10分前」 総合中央研究所 そこにいる全員に緊張感が絶えない。空気は重かった。 全員が見守る。 彼らの視線の先は、硝子一枚向こうの部屋。真ん中には細長いガラスケースが立っている。そして、その中には 少女が眠っている カラフルで様々なチューブに体を繋げられ、青白い液体の中に浸されていた。その部屋の中にいるのは数人の研究隊員。 夭、秦、旋、紅、凜 この5人だけだった。 彼らはそれぞれの立ち位置に着き、時間を待っていた。 『5分前』 耳に入るカウント。心搏数が増える。ドクン、ドクンと、体の奥底から聞こえる。目を瞑り息を吸う。焦りは禁物だ。 少女は眠っている。あの閉ざされた目に、数分後自分は映るだろうか。じっと動かない少女は、何を思うのだろう。 刹那 ドン! 近くで音が聞こえた。一瞬意識が、全神経がそちらに逸れてしまった。 「くそ……っその辺で誰か戦ってやがるな」 「まずい、爆撃だな、揺れる……!」 カタカタと地面が揺れる。地震にも似たその揺れのせいで、なかなか集中できなかった。そして次の瞬間、 「!」 その衝撃で凜の手元の装置が作動してしまった。
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