はじまり

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それは不思議な感覚だ。 そしてその感覚のせいで、雛は現実感を喪失し、どこか別のところにある意識の中を歩いている。 意識の奥の方で、なにかがもぞもぞと動くのを感じる。 雛はそれに気がつかないふりをする。 短くなった煙草を地面に捨て、足でもみ消して眼をあげると、よく見かける猫が目にはいった。 塀の上でまるくなり、つまらなそうな、でもリラックスした顔をしている。 グレーと茶の混じった、縞柄の大きな猫。 野良猫なのか、どこかで飼われている猫なのか、雛は知らない。 深夜の散歩で会う雛の友達だ。
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