はじまり
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「シマちゃん」 雛は勝手にそう呼んでいる。 声をかけると、猫は寝そべっていた塀からひらりと飛び降り、雛の足に体をこすりつけた。 抱き上げると、喉をゴロゴロ鳴らし、顔を舐める。 キスをひとつ落とし、雛は猫を下ろした。 『もう行っちゃうの?』 猫は眼でそう尋ねる。 「今日はおしまい。またね」 そう言って、雛はまた歩き出した。 深夜の公園に向かって。
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